「エンジェル・イヤーズ・ストーリー」

2009年11月06日 22時26分

舞台好きの友達に誘われて演劇集団キャラメルボックスの『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』を観に行きました。お芝居を観たのはすごく久しぶりで、キャラメルボックスも初めてだったのですが、本当におもしろかったです!限られたキャストをとても上手に使ってテンポ良く展開していくステージで、見終わった後にこんなに興奮していた舞台は久しぶりでした。

以下、ネタバレてます。

ストーリー

エンジェル・イヤーズ・ストーリー』は、事故がきっかけで他人の"心の声"が聞こえるようになってしまった父親が主人公の物語です。それまで家庭円満で何も問題が無いように思い込んでいた父親が、家族の心の声を聞くことで、自分の考えとの違いに悩んで葛藤しながら、娘が巻き込まれる事件を中心に家族や職場の人間との絆・関係を確かなものにしていきます。

巧妙な"一人二役"

舞台で"一人二役"というのは珍しくはありません。しかしこの『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』の素晴らしいところは、主人公に聞こえる"心の声"をテープ等で流すのではなく、舞台上で役者さんが"心の声役"として台詞を読み上げるのです。例えば、さっきまで職場の人間として演技をしていた役者さんが、次のシーンでは主人公の妻の背後に立って"心の声"を言う、といった風に。主人公以外の役者さんは自分の役の他に、誰かの"心の声役"としても演技しているので、ぶっ通しで出ずっぱり状態。実際の役をしている最中か"心の声役"をしている最中かを白い衣装(白衣みたいだった)を羽織るか脱ぐかで視覚的に表現しています。

シーンは職場・自宅・病院・事件が起こる娘の勤め先(学習塾)で構成され、役者さんたちは各シーンで代わる代わる一人二役をこなしていきます。その様が舞台を更にテンポ良く見せて、観客を楽しませてくれました。

"主人公視点"を効果的に見せる時間軸構成

この舞台は、主人公がここ数日の間に起きた奇妙な体験と事件を、職場の人間と回想するところから始まります。回想に入ると、突然普通に演技をしている役者さんの背後に別の役者さんが白衣を着て立っています。観ている側からすると「なに?なんでぼーっと立ってんの?」と始めは思うのですが、それが"心の声"だと少しずつ主人公が認識するように、台詞内容と主人公の様子を観て観客も推測していくような構成になっています。

そして事件が解決した後に、何故・どういういきさつで始めのシーンに"心の声役"がいなかったのかがわかるようなエンディングになっているものおもしろいです。

父からみんなへのクリスマスストーリー

今回の公演は2009クリスマスツアーということで、公演概要にもあるように「父はサンタになれるのか?」が1つのテーマとしてあります。自分の思っていたことと現実の違いに困惑して落ち込んだ父が、諦めずにかっこ悪くてもいいから奮闘したことで、それまで上辺でやりとりしていた家族が心から笑いあえる最後でした。父サンタはちゃんとプレゼントを届けられたようです。

今後の演劇集団キャラメルボックスの公演がすごく楽しみです!

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