映画「おと・な・り」

2009年06月13日 23時42分

映画「おと・な・り」を観ました。すこぶるタイプの映画であった。当初は麻生久美子さん(好き!)目当てだったのですが、映画の雰囲気自体もよかったです。"空気"に透明感があって綺麗でした。そこはやはり邦画。ハリウッド映画の様な派手さではなく、心にゆっくりと優しく染みこんで来るものがありました。

以下、ネタバレてます。

主役は、自分のやりたいことに対してなかなか煮え切らず、悶々としながら多忙な日々を過ごす写真家・聡(岡田准一さん)と、自分の夢にしっかり突き進みながら、「30歳、恋人なし。」でときおり寂しさを感じる七緒(麻生久美子さん)です。

そんな2人は、壁が薄い・でも雰囲気の良い(笑)アパートの「おと な り」同士で、お互いの部屋から聞こえてくる様々な生活音にいつしかやすらぐようになっています。この「普段は意識していないけど、いつもそばに在って、無いとなんとなく寂しさを感じる音」のことを"基調音"といい、聡にとっては七尾が口ずさむ「風をあつめて」だったり彼女の独特なくしゃみ、フランス語の発音をする声。七緒にとっては聡がいつもしているチェーンキーホルダーの音やコーヒー豆をミルで挽く音だったりします。

ポイントは、2人が出会っていないということ。お互い顔も合わせたことはないんだけど、お互いの生活音だけで心を通わせていきます。・・・私ならイラっとくる日もあると思う。

見所は「2人がどう惹かれていくのか」と「恋愛が始まるまでの時間をどう描いていくのか」だと思います。作中で2人は何度か近くまで行くんです。聡は行きつけの喫茶店で飾ってある花(※七緒作)に癒されたり、七緒も同喫茶店で飾ってある写真(※聡撮影)をいつも眺めていたり。
あーもーお前らいつ出会うんだよっとやきもきしながら観てました。

実は2人は同じ学校の同級生で、七緒がフランスに行く前に実家に帰省した時偶然聡から電話が来ます。恩師を祝う会があるからという連絡網の電話。
ここか!ここで気づくのか!と期待したのにスルー。恩師を祝う会に参加した時も、聡のチェーンキーホルダーの音に七緒が少し反応するものの、スルー。でも、お隣の彼(彼女)とは気づかないのにでもお互いを意識してくんですよね。

2人が出会うタイミングは最高でした!後から思えば「そうかそりゃあここに持って来るよね」と思うけど、それまでに何回もニアミスがあった分よくわからない達成感がこみ上げた。出会ったぞー!みたいな。なんでだろう・・・

エンドロールに関しては否定的な意見もたくさんあったみたいですね。確かに、「もしもこの世界でふたりが出会ったら、このふたりなら恋愛するだろうって話が書きたい」という脚本家さんの主旨からハズレてるような気もするし、観る側が想像する余地を残してくれた方が余韻が良かったのかもしれませんが、私はちょっと「ホッ」としてしまいました(笑)

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